
みなさんに素敵な時間を過ごせる場所ありますか。
美味しいごはんが食べれたり、いい景色であったり、いい音楽が聴けたり。
1日24時間。1年365日。
限りある時間の中で、日々の何気ない時間をちょっと素敵に過ごす場所ってものすごく大事なんだと思います。
『spectacle kitahama(スペクタークル北浜)』
spectacleとはフランス語で舞台・ショーを意味する言葉。
店主の古田島善之さんがショーや舞台に立つキャストのように、集う人たち誰もが輝けるよう素敵な時間を過ごしてもらいたい。
そんな想いから2017年12月大阪のビジネス街として知られる北浜にオープンしたお店です。
築30年の地下1階から3階まで4フロア構成のビルを丸ごとリノベーション。
鮮やかな青のタイルにいい具合にエイジングされたレトロな扉の入り口。
カウンターやショーケースに並んだ自家製の焼き菓子やケーキ。
おしゃれな空間と美味しそうなスイーツを目の前にして、ちょっとワクワクします。
お店に入ってすぐのカウンターでコーヒーを注文。
コーヒーを受け取り、2階に上がり時々利用させて頂く僕のとっておきの席があるかすぐさま確認。
空いている。
大きな窓から東横堀川が眺められるカウンター席。
季節によっていろんな眺めが楽しめる。
その眺めを楽しみながらコーヒーを楽しむ時間は豊かな気持ちになれます。
「こんにちは。」
本日お話をお伺いさせて頂く店主の古田島さんが声をかけてくれました。
「ここの席は僕もお気に入りなんですよ。」
「いろいろな物件を見ている中で、このビルを訪れて2階に上がって、大きな窓からの風景を見たときにここでお店をしようと決めました。」
その理由は東横堀川と今橋が交わる風景が見えて、若い頃滞在したフランスの川沿いを思い起こさせる景色だったこと。
このカウンター席からスペクタークル北浜のデザイン・構想は固まっていったそうです。
極限にまでシンプルにそぎ落とした空間に古田島さんが集めたアンティーク家具が各フロア思い思いに並んでいます。
「昔から古いものが好きだったんですよね。」
古田島さんは笑いながら、懐かしそうに話してくれました。
「小さい頃、祖父母の家に訪れると、真っ先に古い倉庫に向かって、昔の紙幣や道具をずっと眺めていたんです。
高校生になると古いもの好きの方向は1960年代のフランス映画に向かってました。
1960年代のフランス映画の中に出てくるファッション・インテリア・音楽などにハマり、大学の専攻をフランス文学にしたくらいです。」
【画像(レコード画像)】
古田島さんが大学生だった1990年代は、渋谷のミニシアターがブームでフランス映画のリバイバル上映が盛んだった。
今のようにインターネットで情報を探すという時代でなく、大好きなフランス映画を見るために、ミニシアターを歩き回って上映リストの情報を得ていたそうです。
毎日通っていると、必然的に同じ感覚の仲間に出会い、夜な夜なカフェで映画のこと、将来のことなど語り合っていた。
そんなかけがえのない時間を過ごせる、そして仲間と出会える。そんな場所を作りたい。
そんな想いを実現するために、ワーキングホリデー制度を利用して大学卒業後にフランスに渡ります。
「フランスのカフェで働けたらいいなってくらいの気軽な気持ちで行ったんです。」
だけど、紹介してもらった最初の仕事先はミシュランの星を取ってもおかしくない程の本格的なフレンチレストラン。
飲食の仕事の経験は学生時代のカフェでのアルバイトのみで、日々仕事を覚えるので精一杯だったと古田島さん。
それでも、料理の基本を学ぶいい経験になったそうです。
それからいくつかのレストランで働きながら、日本に帰るまでにパリやニースなど色々な街で過ごします。
古田島さんがフランスで約10年過ごしたなかで、一番魅せられたのがアルザスでの生活。
【画像()】
絵本の世界に迷い込んだかのようなパステルカラーの街並み。
ドイツ料理の豪快さとフランス料理の繊細さを兼ね備えた郷土料理の数々。
豊かな自然を利用して作られるアルザスワイン。
郷土愛が強く家族や仲間の絆を大切にする人たち。
「スペクタークル北浜では僕が感じたアルザスの魅力を少しでも味わってもらえるような場所であってほしいと思っています。」
【画像(cafe EZE)】
30歳を機に日本に帰国。
選んだ地は大阪。
生まれは新潟で大学時代は東京、縁もゆかりもない地を選んだのは、フランスで出会った友人にたまたま大阪出身が多く、大阪の話を聞いているうちに訪れたくなったから。
そして、カフェで働きながら、物件を探し、大阪箕面の地でスペクタークル北浜の姉妹店でもあり、古田島さんの原点のお店『cafe EZE(カフェ エズ)』を2008年にオープン。
【画像(アルザスの郷土料理を並べた画像)】
日本に帰国した頃はフランス料理と言えば、高級料理というイメージ。
いや、そうじゃない。フランスにだって、家庭の味がある。
「大阪人のソウルフードがたこ焼きであるように、フランス人にもソウルフードがあるってことも知ってもらいたいんです。」
スペクタークル北浜で味わえるフランスのソウルフードの1つがタルトフランベ。
アルザス地方の郷土料理の1つで、薄く伸ばしたパン生地に定番の具材はチーズやスライスした玉ねぎやベーコンをのせて焼いたもので、
見た目は薄焼きしたピザみたいでアルザス風ピザとも呼ばれている料理です。
「休日にもなるとみんなビールやワインを片手にタルトフランベを食べながら、おしゃべりを楽しんでたりするんですよ。
アルザス風の休日の楽しみ方なんかも料理を通じて、お店で体験してもらえたらなと思ってます。」
スペクタークル北浜で名物となっているのが、姉妹店カフェエズで誕生した箕面カヌレ。
店内に入るとフワッと香るカヌレの香りにつられて、多くのお客さんが思わず注文してしまう光景が日常になってます。
「フランスの田舎暮らしの中で出会ったクラシックなカヌレを味わってもらいたくて再現しました。」と、古田島さん。
クラシックな仕上がりをイメージした箕面カヌレは、牛乳・バター・全卵・卵黄・小麦粉のシンプルな素材で丁寧に毎日焼き上げています。
カヌレ独特のカリっ、フワっ、モチっの食感と上品な甘みが味わえるのはもちろん、1つ、いや2つとついつい手が伸びてしまう軽い食感が箕面カヌレの魅力。
箕面カヌレの軽い食感はワインとの相性も抜群で、スイーツとしてだけではなく、その組み合わせもお店でぜひ試してもらいたいとのこと。
【画像(PERCHE)】
そんな箕面カヌレを街の酒飲みがほっておくわけがありません。
大阪天満橋にあるワインスタンドPERCHE(ペルシュ)の店主木下さんは箕面カヌレとワインとのマリアージュに魅せられたひとり。
(大阪の名だたるレストランで長年ワインをサーヴしてきた木下さんに箕面カヌレをご自身のお店で取り扱おうと思ったきっかけを聞いてみました。)
【木下さんに聞く部分】
毎日、古田島さんと想いを同じくしたスタッフのみなさんもスペクタークル北浜で素敵な時間を提供してくれます。
スペクタークル北浜のみなさんが提供してくれる素敵な時間をカヌレや焼き菓子でおうちでもちょっと感じてもらえたら嬉しいなと思います。